半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

構成生薬 :  半夏(はんげ), 茯苓(ぶくりょう), 厚朴(こうぼく), 蘇葉(そよう), 生姜(しょうきょう)

効果・効能 : 気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、神経性食道狭窄症、不眠症

漢方で()とは、生命エネルギーのことで、上から下に流れているとされます。この気が停滞すると、抑うつ状態を引き起こすので、気うつといいます。
半夏厚朴湯は、気うつを改善する方剤です。代表的な気うつの症状は、喉の異物感で、これを西洋ではヒステリー球、中国では咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)、日本では梅核気(ばいかくき)といいます。つまり、西洋では球が、中国では炙った肉が、日本では梅の種が喉に詰まったと表現します。国によって表現は違いますが、こんな言葉があるということは、喉の違和感、異物感は人種を問わずに、起こりやすい症状ということです。
半夏厚朴湯に炎症を抑える、(9)小柴胡湯(しょうさいことう)を合方したのを(96)柴朴湯(さいぼくとう)といい、気管支喘息に使われます。また、おう吐や胸やけに使われる、(69)茯苓飲(ぶくりょういん)を合方したものを、(116)茯苓飲合半夏厚朴湯といい、逆流性食道炎に使われます。